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21/11/07 ユメモナクオソレモナク
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タイトルの通り小林秀雄の全集の第25巻。小林秀雄とは第二次世界大戦のあった時代をまさにその時代の主役である壮年期として生きた評論家で、名文家。取り扱うテーマは多岐にわたり、文学は勿論、美術や科学、音楽についての評論も数多い。

そして第25巻にはいくつかの美術品と音楽祭の在り方に加えて、63歳である小林秀雄が生きている同時代の問題を数学者の岡潔との対談の中で語っている「人間の建設」、また文字通り常識について考えた「常識について」という二編が収録されている。

分量的には二編を合わせたものが一冊の半分以上を占めていることから主役であることが判る。特に「常識について」は、私たちが普段使いする安っぽい”常識”という言葉から始まり、その語源がアメリカ独立時のコモンセンスの精神であることを示した上で、その精神がよりどころとする、デカルトの「方法序説」がいかにして書かれたのか、作者がどうして書かざるを得なかったかを詳らかにしている。ここで小林秀雄はデカルトの方法序説について、その原題が「方法の話」という平易な物であり、事実デカルト自身が臨んだのは平易な本であると、またそこに書かれているのは論ではなく、偉大な発見をしたある男がそれを語るまでの生活であると言っている。そしてデカルトがそうせざるを得なかった理由について、デカルトの哲学が何故デカルトの生活と、人間の生活と密接に結びつくかをその明晰な文章で判りやすく示している。ただ一度目でその全貌を把握しようとすると拙速すぎる。できればこの評論はどこに何が書いてあるのかをさっと目を通して掴み、その上で次はじっくりと読む方が良いように思う。デカルトの「方法序説」にデカルトが期待した読み方そのままに。

「人間の建設」「常識について」以外は当たり障りのない柔らかい読み物なのでそれとなく読むのも良いかもしれない。以上、そんなブックレビュー。

特に「常識について」では”常識”とは本来俺たちが思う以上に俺たちの内側で醸造されたものであることが、そしてその後の「人間の建設」ではその”常識”の精神が根底に流れているように思う。どこがとかは判らないが。

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